今日はSOMPO美術館で開催されています展覧会「モンドリアン 純粋な絵画を求めて」をご紹介します。
来年は生誕150年、モンドリアンと作品
モンドリアン(Pieter Cornelis Mondriaan)は1872年オランダ中央部に生まれました。来年2022年は生誕150年にあたります。
初期は風景画や素描の作品、色彩の変化
モンドリアンが拠点にした街ごとにその推移がわかるように、アカデミーを卒業した年の1895年、アムステルダム「王立蝋燭(ろうそく)工場」から展示されていました。この頃は当時のハーグ派の影響が濃く見え抑えめの色調の風景画でした。
印象派の影響
1900年以降はフランス印象派の影響が強く、自由な筆づかいが顕著になります。ウェットオンウェットの技法も用いて抽象画に向かっていきます。
パリ→オランダ→パリ→ニューヨーク
モンドリアンは1911年にアムズテルダムで開催された展覧会に出品し、パブロ・ピカソ、ポール・セザンヌ、ジョルジュ・ブラックと共に展示されることで、画風の変化の必要性を感じるようになり、パリへの移住を決意します。
パリでのモンドリアンはキュビズムから形の単純化と抽象化に至ります。1914年の『色面の楕円コンポジション2』はその頃の作品で、その年に戦争のため、オランダに帰国します。
1917年にはモンドリアンが提唱した「新造形主義」に基づき「デ・ステイル」が結成され、それ以降モンドリアンはデザインの世界に大きな影響を与えることになります。
モンドリアンの代表作でまず思い浮かぶ『赤、青、黒、黄、灰色のコンポジション』は、第一次世界大戦が終わり、再びパリに戻った1921年に制作されました。
この直線と原色で表現された絵画「コンポジション」は日本人にもファンの多いシリーズです。
純粋な絵画を求めて
「モンドリアン 純粋な絵画を求めて」では伝統的な絵画から自由な表現を探求したモンドリアンが、時代に流され移転しながらも純粋絵画を求めて生きていた様子が想像できるような展示になっています。
油彩画はガラスのない形で目の高さで展示してあり、モンドリアンが描いた時の気持ちを考えながら見ることができます。
作品展示数は65点と多くなないですが、モンドリアンの経緯がわかる代表作ばかりで見応えがあります。
2021年現在は予約制で混雑しないような配慮がされていますので、モンドリアンの絵画に会いに行ってみてはいかがでしょうか。
モンドリアンがモチーフの切手
モンドリアンの作品はオランダの切手デザインのモチーフに度々使われています。
オランダのモダンデザインを象徴していますね。
ディック・ブルーナの描いたナインチェ(日本ではミッフィーまたはうさこちゃん)ですが、こちらの切手シート、右の1枚はナインチェがモンドリアンの絵を見ていますね。
ディック・ブルーナ自身もモンドリアンに影響を受けたことで有名です。
モンドリアン展、図録がユニーク
モンドリアン展の図録の秀逸さユニークさに感動しました。
表紙と中表紙、帯は原色の光沢紙でモンドリアンの平面構成をイメージさせ、作品ページの用紙はマット(光沢を抑えた)質感で印刷も見た感じそのままで見やすいです。
そして・・待っていた180度開く装丁なのです。
これにするために12冊(多分)の糸綴じにして重ねていて、あえてその背表紙部分を見せています。
モンドリアンの作品は平面構成が主体なので、平に広げて見れることにしたブックデザイナーさん、素晴らしいと思います。
あまりに感動したので写真多めに載せます。
SOMPO美術館について
SOMPO美術館は元の名称を東郷青児美術館を前身とする都市型の美術館です。
SOMPOとは保険会社の損害保険ジャパンの運営している美術館ということです。かつての安田火災ですね。
2019年までは新宿の超高層ビルの1つ、損保ジャパン本社ビルの42階に位置していましたが、2020年にビルの敷地内に別棟として美術館が建設されました。
エントランス前にはゴッホの『ひまわり』の複製陶板がさりげなく設置されています。陶板なので手で触ることができます。
本物の『ひまわり』は3階のにガラスで区切られた専用スペースに大切に展示されて企画展の際も見ることができます。
設計は大成建設
設計は大成建設一級建築士事務所で、収蔵品のメインになる東郷青児の作品である優美な女性像が建物のラインなどに表現されているそうです。なるほど・・
SOMPO美術館・東京 基本情報
- 住所:160-8338 東京都新宿区西新宿1-26-1
- 電話番号:050-5541-8600
- アクセス:JR 新宿駅西口から徒歩5分
- オープン時間:10:00〜18:00(2021年は短縮対応)
- 休日:月曜日(祝日の場合は翌日休)
- 料金:大人1,500円(オンライン)高校生以下無料
- 一般向け駐車場:損保ジャパンビルの地下駐車場(有料)休日の方が停めやすいです。
- ロッカー:あります。無料でコインは不要です。
- 写真撮影:展示室内の撮影は禁止、SNS用に1ヶ所のみ可能
モンドリアン純粋な絵画を求めて:2021年3月23日(火)〜6月6日(日)
上記はブログ更新日現在の情報です。最新情報はウェブサイト等でご確認ください。
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