今日は見れば見るほど味がある、東京都庭園美術館=旧朝香宮邸のラジエーターカバーについてご紹介します。
朝香宮邸のラジエーターカバーとは
ラジエーターは温水や蒸気を熱源とする暖房器具のことです。
旧朝香宮邸では暖房にラジエーターが採用されました。
そのラジエーターの1つ1つに意匠を凝らしたカバーが付いていることに訪れる人は誰もが驚くのではないでしょうか。
こちらは大広間に単独で置かれたラジエーター、アール・デコのデザインが取り入れられています。
ラジエーターカバーのデザインは宮内省内匠寮の技手だった
この装飾金物のデザインは、主に宮内省内匠寮の技手、大賀隆氏が担当し、鋳物または電気鋳造の技法で製作されました。
鋳物は製作するものの形状の型に材料の金属を流し込み、冷却して固める鋳造手法で、大型の作品に適していました。
朝香宮邸の鋳物の多くはブロンズ(銅)製でした。製作を請け負ったのは建鉄工材商会という会社でした。
ラジエーターカバーにはは前出のアンリ・ラパンやルネ・ラリックは関わっていないようです。
ラジエーターカバーギャラリー
エントランスを入ってすぐの大広間から食堂、寝室まで様々なラジエーターカバーがあり、見ていて楽しいです。
特に食堂の熱帯魚の装飾は遊び心の感じられるデザインです。
妃殿下がデザインしたラジエーターカバー
エピソードとして残されていることに、允子妃殿下がデザインしたカバーが妃殿下の部屋にあります。
ヨーロッパ滞在中に彫刻家イヴァン=レオン・アレクサンドル・ブランショに水彩画の手ほどきを受けたセンスはさすがです。こちらが天井の近くにある丸い形のデザインのもの。
こちらが足元にある四角形のデザイン
全体はこちらです。
壁紙(クロス)はこの展示で復元されていました。上品ですね!
庭園美術館は建物公開という展示が年に1回ありますので、ラジエーターカバーだけをテーマに見て歩くのも楽しいです。
庭園美術館・2021年これからの展覧会予定
2021/4/24(土)〜6/13(日)は、館内を存分に楽しめる展覧会です。(現在は社会情勢により休館しています)
「建物公開2021 艶めくアール・デコの色彩」
年に1回、アール・デコの建物を公開してくださるうれしい企画。
写真も見ている人の迷惑にならないように気をつければ、取り放題(笑)です。
季節も春なので、ぜひ予定に入れてみてください。
☆ 2021/6/26(土)~9/5(日) ルネ・ラリック 夏の扉―ガラスが彩る光の邸宅(仮称)
☆ 2021/9/18(土)~11/28(日) 英国王室に愛された庭園 Royal Kew 美しい花々(仮称)
☆ 2022/1/15(土)~4/10(日) 奇想のモード(仮称)
どれも美術館の雰囲気にぴったりの企画で学芸員さんのセンスを感じます。
楽しみですね!
・休館日はウェブサイトのカレンダーでご確認下さい。
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