今日は南青山アートツアー3館め、根津美術館(Nezu Museum)をご紹介します。
根津美術館(Nezu Museum)とは
東武財閥を築いた根津嘉一郎氏の収集した美術品を保存、展示するために建てられた美術館です。
収集品は主に日本や東洋の古美術品で、質の高いコレクションで知られています。分類は
- 近世絵画
- 中国絵画
- 仏教絵画
- 水墨画
- 写経
- 陶磁器
- 漆工
- 日本刀と刀装具
- 中国古代青銅器
このように多岐にわたり、2021年現在7,420件、うち国宝7件、重要文化財87件が含まれています。
根津美術館の建築美
設計は建築家 隈研吾氏「庭をデザインする」発想
発想2009年に隈研吾氏の設計による新展示棟がオープンし、美術館入り口の美しい通路で有名になりました。
隈研吾さんは根津美術館を、庭をデザインするつもりで作ったとインタビューで語っています。箱を作るのが建築だとすると、経路を作るのが庭、だとすると根津美術館は庭の発想から始まったということです。
脇の緑を感じながら見れる美術館はありそうでない、中と外が一体化した美術館は意外と日本にはない、日本にこそ、このような美術館があるべき、という構想に共感します。
根津美術館新館設計にあたって、この地に住まれていた根津夫妻は、そこにある庭園に合う建築を望まれたそうです。
隈研吾さんは設計にあたり、根津ご夫妻と世界の美術館を観て回り、この壁がいい、この床がいい。空気感がいいと話し合いながら、時間をかけて美術館を作ったと語っています。
表参道というファッションストリートのつきあたりにあって、ファッションストリートとは違う静かな空間を作るために、50mの庇の下を竹林の中を歩くような空間を移り変わりの装置としました。この庇の存在は、建物を家のようなヒューマンスケールに感じさせています。
そして、建物の中は大きい空間に見せるめに柱を可能な限り細くすること、そのために無垢の鉄を使って極限まで細くする、可能な限り庭と一体化することを考慮したそうです。
隈研吾さんは、根津美術館に採用したそのほかの素材についても、インタビューで詳細に語っています。こちらも併せてご覧ください。
根津美術館の特徴
記念館は6つのエリアに分けられます
- 展示室1〜6
- 講堂
- 茶室
- 庭園
- カフェ NEZU CAFE
- ミュージアムショップ
展示室と講堂
展示室は企画展のメインとなる展示スペース1と2を中心に、2階にも3つのスペースがあり、外光を取り入れつつ、照明は抑えめで落ちついた空間です。展示室をつなぐ通路も広く、ところどころにベンチがあります。
講堂は展示室から階段をおりた地下1Fにあり、日本文化の啓蒙普及活動に関連ある企画で利用可能です。特定の企業の販売促進やPR関連のイベントには利用できません。
都会のオアシス・和風庭園と茶室
庭園は手入れが行き届いており、都会のオアシスです。この庭園だけを訪れたい気持ちもあるのですが、美術館利用者のみ入ることができます。
茶室は4席あり、一般に貸し出されています。貸し出しには審査があり、収益目的では利用できません。
NEZU CAFE(カフェ)
カフェは庭園を進んだ奥にあります。
雨が降ると庭園の横断用にテラスに傘が置かれます。
NEZU CAFEは森の中のカフェといったイメージでとても癒やされる空間です。元は根津家のサンルームがあった場所で、庭が一番きれいに見える場所だそうです。席数は20席で大きな声で話すことがためらわれる感じです。
メニューはブレンドコーヒー¥650、ポットの紅茶¥750とやや高めです。焼き菓子、ケーキがあります。
食事メニューはミートパイが名物です。こちらは上品な大きさで、いっぱい食べないと満足できない方には小腹満たし程のかわいさなのでダブル(2個)がおすすめです。
ミュージアムショップ
ミュージアムショップはかなり充実しています。
オリジナルグッズがほしくなるものばかりです。
更紗のシリーズ、燕子花をデザインしたグッズや、伝統文様・双羊尊をモチーフにしたものなど、ここでしか買えないアイテムがたくさんあります。
2021年の展覧会「狩野派と土佐派 幕府・宮廷の絵師たち」
2021年2月25日(木)〜3月31日(水)まで開催されている「狩野派と土佐派 幕府・宮廷の絵師たち」を観てきました。
室町〜江戸時代にかけて幕府や宮廷の御用をつとめた絵師たちの作品を展示しています。
漢画、水墨画、やまと絵を系統として一覧することができる貴重な機会です。
2024年の展覧会 「国宝燕子花図屏風」
2024年4月13日(土)〜2021年5月12日(日)
国宝燕子花図屏風
尾形光琳(1657~1716)の「燕子花図屏風」は日本人に最も好まれる絵ではないでしょうか.
燕子花(カキツバタ)が見頃になる4月〜5月にかけて公開される展覧会です。
2024年はデザインの日本美術を主題に展示されます。
4月は咲き始めですが、控えめな花が映える庭園の風景でした。
国宝 燕子花図屏風の切手
2017年発行「切手趣味週間」です。
燕子花図屏風を切手にするとこうなります。
私は燕子花図屏風をこちらの切手で知りました。
切手も美しいですが、実物も迫力がありました!
根津美術館・基本情報
- 住所:東京都港区南青山6-5-1
- 電話番号:03-3400-2536
- アクセス:地下鉄線表参道駅徒歩10分、または渋谷から都営バス、新橋駅行き「南青山6丁目」徒歩6分
- 開館時間:10:00〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで 現在はウェブ予約が必要です。
- 休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始、展示替え期間
- 料金(特別展):一般 1,600円 / 高校生以上の学生 1,300円 (オンライン割引、企画展のみ割引あり)、小中学生は無料
- バリアフリー対応です
- 一般向け専用駐車場:ありますが少ないです。
- ロッカー:あり、コイン式(100円コインご用意ください)
- 写真撮影:展示は不可、携帯電話の使用も不可、ホール、庭園では撮影可能
☆オンライン予約制、人気のある特別展の際は当日券はないこともあります。
上記はブログ更新日現在の情報です。最新情報はウェブサイト等でご確認ください。
南青山アートツアーは、今回の根津美術館がラストです。
ここから、表参道駅方面へ向かうと途中の左手に長く青山のランドマークとしてあるFrom1stビル、そのさきにヨックモック本店が見えてきます。
この通りは景観として低層で抑えられていますので、よい雰囲気が保たれています。
3つの個性的な美術館、ミュージアムを巡るツアー、いかがでしたでしょうか?
1日に3館が慌ただしい気もしますので、根津美術館は別の日に行かれて、帰りに表参道の散策もおすすめです。
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