こんにちは♪ 2022年9月17日から11月10日まで、東京都渋谷区の「Bunkamura ザ・ミュージアム」で開催されている『イッタラ展』を見てきました。
『イッタラ展 フィンランドガラスのきらめき』
アルバ・アアルト(Alvar Aalto , 1898-1976)のベース(花の器)やシンプルなグラスで知られるイッタラ(Iittala)社の創業140年を記念してフィンランド・デザイン・ミュージアムで開催された展覧会を再構成して日本で公開しています。
見どころ
- 日本初、イッタラの大規模巡回展
- イッタラの140年におよぶ軌跡を450点以上の作品を通して公開
- イッタラと日本のつながりをデザイナーの視点で見る
イッタラ展・章立て
1:イッタラ140年の歴史
2:イッタラとデザイナー
3:イッタラを読み解く13の視点
4:イッタラと日本
5:インスタレーションなど
1. イッタラ140年の歴史
フィンランドでガラス産業が誕生したのは、18世紀のスウェーデン統治時代です。
イッタラガラス工場は1881年に設立されました。蒸気製材所があることと鉄道の存在で有利な土地でした。設立者はスウェーデン人のピーター・マグナス・アブラハムソンです。
当時は製薬用ガラス、家庭用ガラス、クリスタルガラスを製作していました。
現在のようにデザイン的に有名になるのは、時を経て1950年代に入ってからです。
1946年にデザインコンペティションが開催され、そこからカイ・フランク(Kaj Franck , 1911-1989)とタピオ・ヴィルカラ(Tapio Wirkkala , 1915-1985)が見出されました。
第1章では、イッタラの始まりから現在までの流れを展示します。
2. イッタラとデザイナー
イッタラが世界的なブランドになったことは、デザイナーによるブランディングの力が大きかったと思います。
イッタラのデザイナーで、真っ先に思い浮かぶのが、アルバ・アアルト、アイノ・アアルト夫妻です。
そしてイッタラのシンプルでクリーンなティーマシリーズで知られるデザイナー、カイ・フランクをはじめ、タピオ・ヴィルカラ、オイパ・トイッカ(Oiva Toikka 1931-2019)、ティモ・サルパネヴァ(Timo Tapani Sarpaneva、1926-2006)、アルフレッド・ハペリ(Alfredo Häberli , 1964- )、ハッリ・コスキネン(Harri Koskinen , 1970- )が紹介されています。
3. イッタラを読み解く13の視点
1)素材としてのガラス
2)職人の技
3)型でつくる
4)マジック・リアリズム 自然や精霊との対話
5)気候と文化
6)陶磁器とガラス
7)アーキタイプ 基本のかたち
8)カラー
9)戦後のフィンランドの外交とデザイン
10)広告イメージ 世界観を伝える
11)ミメーシス 自然の模倣
12)連ねる、重ねる
13)リサイクルとサスティナビリティー
この展示は見応えがありました。
イッタラがガラス製作メーカーだけではない役割を担っていることを知りました。
4.イッタラと日本
今イッタラと日本のつながりは1950年代が始まりです。
カイ・フランクは日本のデザインの独創性に興味をもち、度々来日しました。京都の龍安寺石庭について
「おそらく今まで見たなかで最も美しい」と評しました。
このほか、イッセイ・ミヤケ、皆川明さんのmina perhonen(ミナ・ペルホネン)、イッタラの東京初の旗艦店を設計した隈研吾さんの展示があります。
5.インスタレーションなど
展示の最後にアアルトのベースと、オイバ・トイッカの『バード バイ トイッカ』が29羽並びます。
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イッタラの歴史と思想、デザイナー、日本とのつながりの展示を通して、一貫して感じる流行に左右されない質の高さ、一言「シンプルなデザイン」でまとめたくなりますが、北欧の自然と素朴な美しさからインスピレーションを得ていることを知り、ますますイッタラのガラスや器が好きになりました。
Bunkamura ザ・ミュージアムについて
- 所在地:東京都渋谷区道玄坂2-24-1 B1F
- 交通:JR線渋谷駅 ハチ公口より徒歩7分、地下鉄線渋谷駅 B2出口より徒歩5分
- ロッカー:あり:コイン不要です
- 写真撮影:特別展は一部のみ可能
- 一般駐車場:東急百貨店の駐車所あり(有料)
- 休館日はウェブサイトのカレンダーでご確認下さい。
( Bunkamuaは隣接する東急百貨店の再開発にともない、2023年4月から休館の予定があります。)
イッタラ・表参道店に寄りました
イッタラで現在購入できる商品を揃えた旗艦店が2021年2月、東京にオープンしました。
設計は前述しました隈研吾さん。照明器具にイッタラの伝統工法を用いたガラスを使っています。
製作過程のディスプレイもありました。
自然素材を使い広々とした空間の店舗です。スタッフの方も親切で、イッタラの器を1ヶ月に1個を選び、揃えていったら楽しいかも・・という発想が浮かびました。
イッタラに関連するフィンランドの切手
フィンランド郵政は北欧デザインをイメージした切手を度々発行しています。
ポスティオ・マルシェの収集テーマでもありますが、イッタラに関わったデザイナーの切手をご紹介します♪
2011年にフィンランドで発行された『カイ・フランク生誕100年』は北欧デザインの雰囲気が詰まった切手とFDC(ファーストデイカバー)です。
カイ・フランクのイメージを表現したデザイナーは、ヘルシンキ出身のイラストレーター、サンナ・タスキネン(Sanna Taskinen)です。
1998年に発行された『フィンランドのデザイン』
アアルト・ベースとカイ・フランクの食器が上下に並んでいます。
2015年に発行された『フィンランドのデザイン』
タピオ・ヴィルカラ(Tapio Wilkala)のグラスと、背景のポートレートもヴィルカラです。
他にも北欧デザインをテーマにした切手がたくさんありますので、ぜひご覧ください。
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